療育の時間を守るためのデジタル化 — 記録・事務を勤務時間内に終える
この記事の要点
- 45分×4〜6コマの支援と、その準備・記録・園連携を勤務時間内に収めるための仕組みづくりを続けています
- 書類承認の電子化、療育後の音声からの記録作成、議事録の自動生成などを開業から段階的に導入してきました
- 参照する記録が古くないかを自動で確認するなど、質が落ちないための歯止めを仕組みの中に組み込んでいます
- 子育て中の常勤スタッフも、保育園のお迎えに遅れることなく業務を終えられる働き方になっています
求人を見ているときに気になるのは、「この仕事、本当に時間内に終わるのだろうか」という点ではないでしょうか。保育や福祉の現場では、子どもと関わる時間の外側に、記録・書類・連絡といった仕事がついてきます。そこがアナログのまま積み上がると、支援の質を守ろうとするほど働き方のほうが苦しくなっていきます。この記事では、あおい湖のこどもサポートルームが開業から段階的に進めてきた記録・事務のデジタル化と、それが日々の働き方にどうつながっているかをご紹介します。
「記録・事務」の話が、そのまま働きやすさの話になる
児童発達支援の仕事は、お子さまと直接かかわる時間だけで終わりません。支援の準備、実施記録の作成、支援内容の検討、個別支援計画にかかわる会議、保護者さまへの説明や面談、通っている園との連携——求人の仕事内容に並ぶこれらは、どれも支援の質を支える大事な仕事です。
ただ、これを手書きと紙の回覧のまま進めようとすると、量が積み上がります。記録を後回しにして数日後の空き時間に書くことになったり、書類が「提出のためだけの書類」になってしまったり、時間内に終わらずに持ち帰ることになったり——質を守ろうとするほど、どこかにしわ寄せがいく構造です。
あおい湖のこどもサポートルームは、この構造を個人の頑張りで解くのではなく、仕組みで解くという考え方をとってきました。事務を効率化すること自体が目的ではありません。人にしかできない時間——お子さまと向き合う45分と、その子について仲間と話し合う時間——を最も大事な時間と位置づけ、その価値を高めるための手段としてデジタル化を進めています。
1日の形 — 45分のコマと、その外側の時間
あおい湖のこどもサポートルームは、最大3つのブースを使った個別療育を行っており、主に未就学のお子さまが対象です。1日は45分のコマを4〜6回。この45分には内訳があり、はじめの30分が療育者とお子さまの1対1で行う療育、続く15分が子ども同士のかかわりを育む小集団の時間です。1対1で丁寧に取り組む時間と、子ども同士のかかわりの中で育つ時間の両方を、ひとつのコマの中に組み込んでいるのが特徴です。
きめ細かい分だけ、記録も濃くなります。コマごとに、そのお子さまがどんな反応をしたか、次にどうつなげるかを残していく必要があります。正社員・契約社員の勤務時間は8:30〜17:30。このなかに4〜6コマの支援と、その準備・記録・話し合い・園との連携をすべて収めようとすれば、事務の側を軽くするしかありませんでした。
開業から段階的に積み上げてきた、記録の流れ
デジタル化は、開業から段階的に積み上げてきました。一度にすべてを入れ替えたのではなく、記録にかかわる作業を一つずつ置きかえてきた形です。いまは、次のようなことが日常の業務の中でできるようになっています。
- 書類の承認は電子化されていて、紙の回覧がありません
- 療育後に録音した音声から、活動ごとの実施記録を作成できます
- 支援会議の議事録は自動で作られ、お子さまごとのフォルダへ自動で登録されます
- 蓄積した記録をもとに、個別支援計画やモニタリング表の作成を進められます
- その日の個別療育プログラムの案づくりや、園に渡す連携シートの作成も、記録を材料にして進められます
支援プログラムを仕上げるためのエディタは、スマートフォンからも使える自前のWebアプリとして開発を続けています。これらの仕組みは、それぞれが独立しているのではなく、ひとつの流れとしてつながっているのが特徴です。療育の記録が蓄積され、その蓄積が次の計画・次のプログラム・次の園連携の材料になり、また次の支援へ戻っていきます。記録を書くことは「後で誰かが使うため」ではなく、次の支援の材料をその場で作っていることでもあります。
「提出のための書類」を作らないための歯止め
自動化と聞いて心配になるのは、「中身の薄い書類が量産されるのでは」という点だと思います。あおい湖では、すべての書類は「次の支援につながる生きた書類」であるべきだという原則を置き、質が落ちない歯止めを仕組みそのものの中に組み込んでいます。
- 書類を作るときに参照する記録が古くないかを、仕組みの側が自動で確認します。材料が足りないときは出力を止めて、何が足りないかを知らせます。古い材料からもっともらしい書類を作らせないための設計です
- 「ことば・からだ・かかわる」といった表記の統一、「できない」ではなく強みから書くこと、敬称を「さん」でそろえることなど、あおい湖の書き方のルールが仕組みの中に明文化されています。使えば自然にルールが守られます
園に渡す連携シートでは、専門用語を「ザワザワした音が苦手」といった子どもの姿の言葉に置きかえます。受け取る先生に伝わってはじめて連携になる、という考え方です。書類を速く作ることではなく、その書類が次の支援を動かすかどうかを基準にしています。
子育て世代でも、お迎えに間に合う
こうした積み重ねの結果として、子育て中の常勤スタッフも、保育園のお迎えに遅れることなく業務を終えられる働き方になっています。記録を持ち帰らない、書類のために残らない——これは個人の要領の良さの問題ではなく、事務にかかる時間を仕組みで削ってきたからこそ成り立っているものです。
働き方の選択肢そのものも複数あります。正社員・契約社員は8:30〜17:30の週5日勤務が基本で、パートには4時間・7時間・7.25時間・8時間といった時間帯があり、週2日以上から勤務日数を相談できます。休日は日曜・祝日に加えて夏季(8/13〜15)・年末年始(12/29〜1/3)などがあり、週5日勤務の求人は年間休日120日です(長岡天神教室の求人は日曜・月曜・祝日が休日です)。
療育の外側の業務も、同じ方向で整えてきました。ご予約の受け付け、経費の申請、研修の受講、事業所の安全点検、職員同士の情報共有といった仕事も、紙と手書きを減らす形に置きかえています。
デジタル化は、人にしかできない時間のために
私たちがデジタル化してきたのは、記録を書き写す手間や、書類を回す手間です。お子さまの様子を見て次の一手を考えること、その子について仲間と話し合うこと、保護者さまの言葉を受け止めることは、置きかえられません。むしろ、そこに時間を残すために事務を削ってきました。
使えないのは本人のせい、とはしない
新しい仕組みや道具を使えていないのは本人の落ち度ではなく、渡し方の問題として扱う——これが法人としての考え方です。入職初日から一人で任されることはなく、先輩スタッフのサポートを受けながら、道具の使い方も含めて仕事に慣れていける環境です。
求人の仕事内容にも「DX化を推進することで負担軽減に取り組んでいる」と記載していますが、それは方針の表明というより、入職後に実際に使う道具の話です。1日がどんな流れで進むのか、記録がどのくらいの手間で終わるのかは、見学のときに実際に見ていただくのが一番わかりやすいと思います。見学は1〜2時間程度で、見学のみで採否に影響することはありません。
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